抄録
症例は44歳,男性。骨髄異形成症候群(RAEB-2)に対して全身放射線照射を含む骨髄破壊的前処置後に非血縁者間同種骨髄移植を施行した。移植片対宿主病(GVHD)予防はタクロリムスと短期メトトレキサートで行った。Day17に生着を認め,Grade IIの急性GVHD(皮膚,消化管)を発症したためメチルプレドニゾロン2mg/kgを開始した。Day60頃より発熱,肝機能障害が出現した。Day63に両肺野に間質性陰影を認め,急速に呼吸不全と心不全が進行した。各種抗菌薬,抗ウイルス剤,免疫グロブリン製剤を投与したがday66に多臓器不全で死亡した。剖検にて肺,心臓,肝臓,消化管,腎臓など多臓器にトキソプラズマの偽嚢子を認め,播種性トキソプラズマ症と診断した。同種造血幹細胞移植後のトキソプラズマ症の臨床像は脳炎が主なもので,本例のような全身播種性の病態は稀であるが,移植後の急速に進行する間質性肺炎,心機能障害の鑑別に加える必要がある。