2013 年 54 巻 11 号 p. 2056-2061
症例は56歳男性,右上腕腫瘤を自覚し,6か月後に生検した結果,濾胞性リンパ腫(FL)と診断され,マントル層の拡大は認めなかった。一方,同時にS状結腸腫瘤および,異常リンパ球を指摘され,それぞれの生検にてマントル細胞リンパ腫(MCL, びまん性増殖型)と診断。その後右上腕腫瘤のcyclinD1 (CCND1)染色でマントル層が陽性で,さらにFISH法でCCND1/IgH融合遺伝子を認めたため,MCLとFLによる複合リンパ腫(composite lymphoma: CL)と最終診断。分子遺伝学的,免疫組織化学的解析,表面マーカー解析から,本例は異なる2種類のクローンにより構成されていた。MCLとFLはCLを形成することがあり,FLと診断した際には省く。MCLの合併を念頭においた検索が必要であると考えられる。