臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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54 巻, 11 号
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Picture in Clinical Hematology
第73回日本血液学会学術集会
学会奨励賞受賞論文
総説
症例報告
  • 定免 渉, 黒田 裕行, 山田 充子, 松野 鉄平, 佐藤 昌則, 安部 智之, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 藤田 美悧, 長嶋 ...
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2047-2052
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    症例は62歳,男性。2010年4月に重症再生不良性貧血と診断し,ウサギ抗胸腺細胞グロブリン(rATG)とシクロスポリン(CsA)による免疫抑制療法(IST)を施行した。IST後輸血依存が持続したため,2011年5月にrATGを再投与したが引き続き輸血を要した。総赤血球輸血量は100単位を超え,輸血後鉄過剰症の診断で同年7月よりデフェラシロクス(DFX)による鉄キレート療法(ICT)を行った。DFX投与後に血清フェリチン値は低下し,赤血球および血小板輸血が不要となった。ICT前の骨髄生検では鉄過剰沈着を認め,酸化障害を反映する8-OHdG染色が強陽性であった。一方,ICT 1年後は骨髄での造血細胞は増加し,鉄沈着と酸化障害は消失した。本症例の経過から,IST不応性で輸血後鉄過剰症を伴う再生不良性貧血に対するDFX投与は造血回復に寄与する可能性が示唆された。
  • 小野 薫, 佐藤 勉, 井山 諭, 舘越 鮎美, 橋本 亜香利, 神原 悠輔, 堀口 拓人, 菊地 尚平, 高田 弘一, 林 毅, 宮西 浩 ...
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2053-2055
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    難治性の温式もしくは冷式自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia: AIHA)に対するリツキシマブ投与のエビデンスは集積しつつあるが,混合式AIHAへの有効性は未だ不明である。今回われわれは,副腎皮質ステロイドおよび脾摘術が無効であった混合式AIHAに対し,リツキシマブ(375 mg/m2, 週1回,計4回)を投与した。これが奏効し,その後ステロイドを減量しているが,14ヶ月に渡って寛解を維持している。混合式AIHAであっても難治例に対しては積極的にリツキシマブ投与を検討すべきと考える。
  • 松岡 亮仁, 津島 友之, 谷渕 将規, 香月 奈穂美, 串田 吉生, 高田 尚良, 田岡 輝久
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2056-2061
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    症例は56歳男性,右上腕腫瘤を自覚し,6か月後に生検した結果,濾胞性リンパ腫(FL)と診断され,マントル層の拡大は認めなかった。一方,同時にS状結腸腫瘤および,異常リンパ球を指摘され,それぞれの生検にてマントル細胞リンパ腫(MCL, びまん性増殖型)と診断。その後右上腕腫瘤のcyclinD1 (CCND1)染色でマントル層が陽性で,さらにFISH法でCCND1/IgH融合遺伝子を認めたため,MCLとFLによる複合リンパ腫(composite lymphoma: CL)と最終診断。分子遺伝学的,免疫組織化学的解析,表面マーカー解析から,本例は異なる2種類のクローンにより構成されていた。MCLとFLはCLを形成することがあり,FLと診断した際には省く。MCLの合併を念頭においた検索が必要であると考えられる。
  • 西田 有毅, 百名 洋平, 藤澤 聖, 山野 裕二郎, 大島 孝一, 樋口 雅一
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2062-2067
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    症例は68歳男性。左背部痛,全身のリンパ節腫大が出現し入院。高カルシウム血症,抗HTLV-1抗体陽性を認めた。左頚部リンパ節生検では,中~大型のCD4陽性異型T細胞の他に,一部大型のEBER・CD20陽性B細胞を認めた。また,HTLV-1 proviral DNAのモノクローナルな組み込み,免疫グロブリンH鎖・T細胞受容体γ鎖遺伝子の再構成を同一リンパ節検体に認め,成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)とEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の複合リンパ腫Composite lymphomaと診断した。リツキシマブを併用した化学療法で一旦寛解となったが,8ヶ月後に右肩痛が生じ,多発骨腫瘤と頚部リンパ節腫大を認めた。骨・リンパ節生検ではATLのみが再発していた。化学療法と放射線照射を施行したが,治療抵抗性となり死亡した。ATLによる免疫不全でEBV関連DLBCLが発症したことが示唆された。
  • 黒田 裕行, 安部 智之, 定免 渉, 吉田 正宏, 松野 鉄平, 佐藤 昌則, 山田 充子, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 藤田 ...
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2068-2073
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    症例は49歳女性。2010年12月に咽頭および頸部リンパ節腫脹のため受診した。咽頭生検でIgMとTGF-β分泌を伴う濾胞性リンパ腫(FL)と診断した。入院時の骨髄穿刺はdry tapであり,骨髄生検はリンパ腫細胞浸潤と骨髄線維症を認めた。血清TGF-βは上昇し,IgM型M蛋白血症を認めた。R-CHOP療法1コース後にFLは完全寛解が得られ,骨髄穿刺が可能となった。血清TGF-βとIgMは低下して,骨髄線維症は改善した。
  • 永澤 英子, 中村 幸嗣, 鴇田 勝哉, 高橋 渉, 礒 桐子, 新井 ほのか, 鶴見 茂治, 半田 智幸, 仲村 祐子, 中村 由香, 佐 ...
    2013 年 54 巻 11 号 p. 2074-2078
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル 認証あり
    好中球にBCR-ABL1を認めたmixed phenotype acute leukaemia with t(9;22); major BCR-ABL1 2症例を経験した。症例1は59歳女性,症例2は45歳男性。いずれも急性発症。症例1はB細胞と骨髄球のbiphenotypic leukemiaであり,症例2はB細胞と骨髄球のbiclonal leukemia。症例1では好中球98%, 症例2では89%にBCR-ABL1が陽性。いずれもimatinib+Hyper CVAD療法で寛解導入を行い,その後dasatinib治療に移行した。症例1は現在BCR-ABL1 mRNAは定性陰性,症例2では定性のみ陽性になっている。2症例とも臨床経過から急性白血病と診断した。チロシンキナーゼ阻害剤時代の現在,慢性骨髄性白血病の急性転化とPh1陽性急性白血病の鑑別はますます困難となっている。
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