2014 年 55 巻 11 号 p. 2288-2293
37歳女性のエクリズマブ投与のPNH合併出産例を経験したため報する。19歳時にPNH-AA症候群と診断された。35歳時にエクリズマブを導入した。以降,溶血発作は出現していなかった。2年後に妊娠し,エクリズマブの投与を継続した。出産までの期間,溶血増悪所見は認めず,妊娠37週3日に帝王切開にて女児を出産した。産後,抗凝固療法を併用し,軽度の溶血所見とFDP/D-dimerの上昇があったが,明らかな血栓症状は認めなかった。産後10日目に母子ともに退院した。また,臍帯血と初回の母乳中から微量のエクリズマブを検出し,臍帯血中に溶血阻害活性が検出された。