症例は造血幹細胞移植(HSCT)時4歳の男児。生後6ヵ月より細菌感染症を反復し,1歳4ヵ月時に100/μ
l未満の好中球減少が判明した。
ELANE遺伝子exon 3にp.Q73P, g.2253 A>Cをヘテロ接合性に認め,重症先天性好中球減少症(SCN)と診断した。本変異は新規で
de novoの変異であった。G-CSFに不応で診断時以後感染症による入院を反復したため,血清型6座一致ドナーからの同種非血縁HSCTを行った。骨髄非破壊的前処置にfludarabine/melphalan/抗胸腺細胞グロブリン/低線量全身照射を,GVHD予防にtacrolimus+短期methotrexateを用いた。移植12日後に拒絶なく生着し,混合キメラなく15ヵ月以上経過している。G-CSF不応で頻回の感染症を合併するSCNでは,白血病顕在化前のHSCTが有効である。至適前処置や長期予後については症例の蓄積が必要である。
抄録全体を表示