2014 年 55 巻 4 号 p. 428-435
新規薬剤であるボルテゾミブ,サリドマイド,レナリドミドにより多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)の生存期間は延長した。しかし,新規薬剤を用いた長期治療が2次がんのリスクを上げることが懸念されている。1998年1月から2013年3月の間に当院で治療した日本人MM患者において,新規薬剤使用患者152名のうち13名,新規薬剤未使用患者181名のうち38名で2次性骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病に関連する付加的な染色体異常(Chromosomal Abnormalities, CAs)を認め,累積発現率は新規薬剤未使用患者で有意に高かった。高頻度に認めたCAsは新規薬剤使用患者では13q-, 20q-, +8, 新規薬剤未使用患者では-5/5q-と-7/7q-であった。新規薬剤の総投与量および投与期間はCAsの発現と相関を認めなかった。一方,メルファランの総投与量はCAsを認めた患者でより多い傾向があった。今後も新規薬剤の2次がんへの影響を調査する必要がある。