臨床血液
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55 巻, 4 号
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Picture in Clinical Hematology
第75回日本血液学会学術集会
シンポジウム2
シンポジウム3
臨床研究
  • 濱野 愛里, 新垣 清登, 阿部 有, 宮崎 寛至, 関根 理恵子, 中川 靖章, 塚田 信弘, 服部 豊, 鈴木 憲史
    2014 年 55 巻 4 号 p. 428-435
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    新規薬剤であるボルテゾミブ,サリドマイド,レナリドミドにより多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)の生存期間は延長した。しかし,新規薬剤を用いた長期治療が2次がんのリスクを上げることが懸念されている。1998年1月から2013年3月の間に当院で治療した日本人MM患者において,新規薬剤使用患者152名のうち13名,新規薬剤未使用患者181名のうち38名で2次性骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病に関連する付加的な染色体異常(Chromosomal Abnormalities, CAs)を認め,累積発現率は新規薬剤未使用患者で有意に高かった。高頻度に認めたCAsは新規薬剤使用患者では13q-, 20q-, +8, 新規薬剤未使用患者では-5/5q-と-7/7q-であった。新規薬剤の総投与量および投与期間はCAsの発現と相関を認めなかった。一方,メルファランの総投与量はCAsを認めた患者でより多い傾向があった。今後も新規薬剤の2次がんへの影響を調査する必要がある。
  • 内田 立身, 河内 康憲
    2014 年 55 巻 4 号 p. 436-439
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    鉄欠乏性貧血の症状としての異食症のうち氷食症について検討した。日本鉄バイオサイエンス学会の診断基準で診断した鉄欠乏性貧血81例を対象とした。鉄欠乏性貧血全例に氷食行為の有無を問診した。同時に他の異食症,組織鉄欠乏の所見,血液学的データを検索し,鉄治療後のこれらの経過を観察した。氷食症は,氷食行為が強迫的異常行為として見られるもの,鉄剤の投与で氷食行為が消失するものと定義した。その結果,81例中13例(16.0%)に氷食症が見られた。氷食症はヘモグロビン値,血清フェリチン値とは関係がなく,鉄剤の投与により比較的早期に改善した。氷食症は他の異食症が極めて稀なのに比して,日本人の鉄欠乏性貧血の症状としてよく見られることが判明した。氷食症の本態は不明であるが,中枢神経系の生化学的研究の必要性が示唆された。
症例報告
  • 山田 充子, 黒田 裕行, 吉田 正宏, 定免 渉, 安部 智之, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 藤田 美悧, 長嶋 和郎, 松野 ...
    2014 年 55 巻 4 号 p. 440-444
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    症例は79歳男性。2003年7月より本態性血小板血症(ET)の診断で経過観察されていた。2010年8月より高熱と皮疹のため受診となり,皮膚生検でSweet症候群,骨髄穿刺では分類不能の骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN, U)様の像を呈した。2011年3月よりmetenolone, 同年5月からazacitidineの投与を行ったがSweet疹は増悪した。このため,同年7月からranimustineを投与して血球数を制御した。しかし,Sweet疹は持続したため2012年9月からlenalidomideの併用療法を開始したところ血球数は制御され,Sweet症候群は著明に改善した。
  • 早川 文彦, 冨田 章裕, 直江 知樹
    2014 年 55 巻 4 号 p. 445-449
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    症例1は55歳男性,症例2は68歳男性。共に赤血球輸血依存のある骨髄異形成症候群(MDS) Refractory anemia (RA)で,鉄過剰症に対してデフェラシロクス(DFX)の内服を開始した。症例1では投与22日目に,症例2では投与78日目に貧血の進行と著明な網状赤血球比率の低下,骨髄での赤芽球の著減を認め,赤芽球癆と診断しDFXを中止した。症例1では中止21日後には網状赤血球比率は投与前値まで回復し,症例2では中止14日後には網状赤血球比率の上昇が始まり,42日後には投与前値まで回復した。両症例ともパルボウイルスB19感染は陰性で,臨床経過からDFXに起因する薬剤性赤芽球癆の可能性が否定できない状況と判断された。両症例とも無効造血があり,網状赤血球比率は高値を示している症例であったが,このようなMDSに対してDFXを投与する場合には,薬剤開始後の網状赤血球比率の推移に注意する必要がある。
  • 森 美奈子, 北川 智也, 佐々木 裕哉, 大中 貴史, 米澤 昭仁, 森本 浩章, 原武 讓二, 今田 和典
    2014 年 55 巻 4 号 p. 450-455
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    AL型アミロイドーシスは心不全症状を呈する心アミロイドーシスを合併すると極めて予後不良である。予後は半年以内で,多くが突然死する。われわれは初診時,超重症AL型心アミロイドーシス患者(NT-Pro BNP 13,355 ng/l, troponin T 0.16 μg/l, 収縮期血圧100 mmHg)に心不全治療,植え込み型除細動器の装着を行い,4年以上の長期生存している症例を経験した。4年間に心室頻拍に対し抗頻拍ペーシング,心室細動に対し除細動が複数回作動し,ICD埋め込みにより患者の突然死を防ぎえたと考えられる。これまで誌上報告で数例の有効例が報告されているのみで,AL型心アミロイドーシスに対するICDの有用性は定まっていない。近年,新規薬剤の導入により,AL型アミロイドーシスの予後が改善しており,今後,どのような心アミロイドーシス症例がICD埋め込みのよい適応か検討していくことが重要である。
  • 稲葉 晃子, 康 秀男, 中嶋 康博, 西本 光孝, 林 良樹, 岡村 浩史, 井上 敦司, 南野 智, 中根 孝彦, 下野 太郎, 中前 ...
    2014 年 55 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    症例は60歳女性。骨髄異形成症候群に対して,臍帯血移植を施行した。再発消化管急性GVHD (Grade 2)に対してtacrolimus/mPSLによる治療を行っていたところ,day 210に発熱と意識障害を発症し,頭部造影MRI検査で,左視床や基底核,脳幹,皮質下白質にリング状造影効果を認める多発結節影を認めた。髄液と血中の抗トキソプラズマIgM, IgG抗体価はともに上昇しており,特にIgM抗体価は髄液の方が高く,トキソプラズマ脳症と診断した。sulfamethoxazole/trimethoprim合剤内服,clindamycin点滴と抗浮腫治療を開始したところ,症状,画像所見とも改善傾向となり,day 229の血清抗体価は不変であったが,髄液中抗体価は明らかに低下し,軽快退院となった。移植後トキソプラズマ脳症は発症時の確定診断が難しいため,治療の遅れが懸念される致死的合併症であるが,髄液中の特異的IgM抗体測定は早期診断に有用であり,また髄液中抗体価の推移は治療効果を反映する可能性が示唆された。
  • 奥野 豊, 西村 直, 野坂 生郷, 畑 裕之, 満屋 裕明
    2014 年 55 巻 4 号 p. 461-465
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル 認証あり
    79歳女性。約4年間MGUSとして外来にて経過観察されていたが,複視が出現してきたため,多発性骨髄腫への移行とそれに伴う形質細胞腫を疑われ当院入院となる。髄外性病変として頭蓋内3ヶ所と腰椎に形質細胞腫を認め,眼窩内の腫瘤が複視の原因と考えられた。KL-6は1,409 U/lと高値を示したが,CTでは肺野に間質影などの病変を認めなかった。KL-6高値多発性骨髄腫の報告例が予後不良であったため,高齢ではあったがbortezomib, cyclophosphamide, dexamethasoneによる3剤併用(VCD)療法を行ったところ,6サイクル終了時点でstringent CRを達成し,それと同時に複視は軽快し,またKL-6も正常化した。従って,髄外腫瘤を伴うKL-6高値多発性骨髄腫である本症例に対してVCD療法は有効な治療法であり,その予後を改善した。
短報
  • 江原 重幸, 篭島 瑞穂, 丸茂 幹雄, 伊藤 靖, 巽 英二, 満谷 進
    2014 年 55 巻 4 号 p. 466-468
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
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    We report a case of Western type hairy cell leukemia (HCL), a very rare leukemia in Japan. In this malignancy, leukemic cells in a peripheral blood film may be missed due in part to accompanying pancytopenia and in part to loss of typical cytoplasmic projections if prepared in a conventional Japanese way using forced air-drying. Our present patient also had a variety of autoantibodies and the clinical picture was primarily that of Evans syndrome (ES), suggesting disturbed immune responses associated with the HCL. Although HCL accompanied by either AIHA or ITP has been reported, the occurrence of ES in HCL is extremely rare.
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