79歳女性。約4年間MGUSとして外来にて経過観察されていたが,複視が出現してきたため,多発性骨髄腫への移行とそれに伴う形質細胞腫を疑われ当院入院となる。髄外性病変として頭蓋内3ヶ所と腰椎に形質細胞腫を認め,眼窩内の腫瘤が複視の原因と考えられた。KL-6は1,409 U/
lと高値を示したが,CTでは肺野に間質影などの病変を認めなかった。KL-6高値多発性骨髄腫の報告例が予後不良であったため,高齢ではあったがbortezomib, cyclophosphamide, dexamethasoneによる3剤併用(VCD)療法を行ったところ,6サイクル終了時点でstringent CRを達成し,それと同時に複視は軽快し,またKL-6も正常化した。従って,髄外腫瘤を伴うKL-6高値多発性骨髄腫である本症例に対してVCD療法は有効な治療法であり,その予後を改善した。
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