2014 年 55 巻 6 号 p. 682-686
症例は41歳の女性。非寛解の急性骨髄性白血病に対して非血縁者間骨髄移植を施行,18ヶ月後に再発し,再度非血縁者間臍帯血移植を施行したが5ヶ月後に再々発をした。サルベージ化学療法により白血病細胞は減少傾向であったが,移植片対宿主病を示唆する所見が他にない中,肝障害が出現し,1週間後より高ビリルビン血症,凝固因子欠乏,意識障害を来し急性型の劇症肝炎へと進展した。血液中の肝炎原因ウイルスの検索では単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2) (2.34×104 copies/ml)が検出され,HSV-2による劇症肝炎と診断した。抗ウイルス薬の投与,血漿交換等を行ったが肝不全が進行し,劇症肝炎発症6日目に死亡した。造血幹細胞移植後のHSV-2による急性肝炎は極めて稀であるが,経過が急速で,重篤になりうるので,迅速な診断と治療介入を要する。