臨床血液
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症例報告
鎌状赤血球性発作をきたしたナイジェリア人女性
任 明夏関 正則真家 紘一郎黒田 章博宮本 佳奈小川 晋一伊藤 由布栗田 尚樹横山 泰久坂田(柳元) 麻実子小原 直長谷川 雄一萩野 靖子伊藤 孝美千葉 滋
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ジャーナル 認証あり

2015 年 56 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

症例は38歳,ナイジェリア人女性。8歳時に鎌状赤血球性発作を起こし鎌状赤血球症と診断されていたものの,治療は受けていなかった。3日前から全身の疼痛と発熱,貧血,黄疸をきたし近医を受診し当科に入院した。臨床経過と検査所見より鎌状赤血球性発作と診断した。疼痛管理,抗菌薬および輸血等の支持療法にて全身状態の改善を認めた。鎌状赤血球性発作とは,変形した鎌状赤血球が細動脈を塞栓させることによって起きる疼痛発作である。本邦の国際化が進んでいる現在,鎌状赤血球症の患者を診る機会は今後も増える。外国人を診察する場合においては家族歴や既往歴になくとも,本疾患を疑い適切な対応をしてゆくことが,今後の国際化していく日本社会の中においては重要である。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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