臨床血液
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8 (EL-31)
赤芽球癆の診断と治療
廣川 誠
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2015 年 56 巻 10 号 p. 1922-1931

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抄録

赤芽球癆は造血幹細胞の機能不全に基づく難治性貧血のひとつであり,骨髄における赤血球系造血の選択的減少とそれに起因する網赤血球の減少および正球性正色素性貧血を呈する疾患である。赤芽球癆は大まかに先天性と後天性に区分され,後天性は原因を特定できない特発性と,何らかの基礎疾患に伴う続発性がある。また,臨床経過から急性と慢性に分類される。本邦で多い後天性慢性赤芽球癆の3大病因は,特発性,胸腺腫およびリンパ系腫瘍である。急性赤芽球癆の多くは薬剤性あるいはウイルス感染症に伴うものであり,被疑薬の中止および1カ月間の経過観察に伴って貧血の改善をみることが多いが,一方,特発性赤芽球癆および基礎疾患に対する治療によって貧血が改善しない続発性慢性赤芽球癆においては免疫抑制療法が適応となる。しかも,免疫抑制療法が奏効した場合,多くは長期間の寛解維持療法が必要となるため,赤芽球癆の病因診断は極めて重要である。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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