臨床血液
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症例報告
微小血栓による心筋障害が突然死の原因と考えられた血栓性血小板減少性紫斑病
山本 起代子服部 行紀島田 幸輝荒木 葉子足立 達哉津下 圭太郎
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2015 年 56 巻 11 号 p. 2336-2340

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抄録

症例は35歳,ダウン症の女性。食欲低下,嘔吐の訴えがあり近医を受診したところ,貧血(Hb 7.4 g/dl)と血小板減少(0.5×104l)を指摘され,精査目的で紹介された。末梢血スメアで破砕赤血球を認め,LDH上昇,クームス試験陰性であることから血栓性血小板減少性紫斑病を疑い,ステロイド併用で血漿交換を開始した。ADAMTS13活性は0.5%以下で,インヒビター(0.8 Bethesda U/ml)が検出された。第6病日(血漿交換4回後),血小板13.0×104lまで回復したが,第7病日には急激に低下(1.8×104/μl)した。その後,血漿交換を続けたが効果を認めず,第21病日に突然ショック状態に陥り死亡した。病理解剖の結果,心筋壊死や冠動脈の血栓は認めなかったが,心筋内細静脈優位に細血管に多数の血小板血栓を認め,臨床所見と合わせて心筋障害による心原性ショックが死因と考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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