骨髄腫細胞はCD138を強発現すると考えられてきたが,一部の症例で骨髄腫細胞中のCD138
+細胞比率の低下が確認される。本研究は,診断時CD138
+細胞比率が50%以上を占めていた患者において,治療経過中にCD138
+細胞比率が低下した群(12名)とCD138
+細胞比率が維持していた群(105名)に分類し,CD138
+細胞比率が低下することの臨床的意義を検討した。この2群間で全生存期間に有意差はなく,低下群において観察期間中に死亡した9名(75%)のCD138
+細胞比率の低下確認後の生存期間は中央値25ヶ月と比較的短期間であり,すべてが腫瘍死であった。死亡例の内,7例はCD138
+細胞比率が低下した状態で死亡していた。一方,生存例3例の内,2例で治療後CD138
+細胞比率の再上昇が見られた。低下群においてCD138
+細胞比率の低下後に,一部の症例では髄外病変や予後不良な細胞遺伝学的異常[del(17p), t(4;14), c-MYCの増幅]が検出された。以上より,CD138
+細胞比率の低下は骨髄腫細胞の更なる悪性形質の獲得と関係があることが示唆された。CD138
+細胞比率の低下が予後や薬剤耐性に寄与する因子であるかは不明だが,治療で比率の改善が見られない場合には予後は短期間となる可能性がある。
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