臨床血液
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特集:血液分野の最新情報2015 ―バイオロジーを中心に(赤血球系疾患)―
ヘム合成のバイオロジーの最前線
藤原 亨張替 秀郎
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2015 年 56 巻 2 号 p. 119-127

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抄録

ヘムは全ての細胞で必須の分子であるが,その主な産生細胞は赤芽球と肝細胞である。ヘム生合成の障害があると,組織への酸素輸送,ミトコンドリアでの酸化的リン酸化,薬物代謝等に重大な障害を生じ,その結果,ポルフィリン症と総称される一群の疾患を生じる。本疾患は,肝細胞におけるヘム生合成の障害を認める肝性ポルフィリン症と,赤芽球でヘム合成の障害を生じる造血性ポルフィリン症に大別される。一方,赤芽球におけるヘム生合成の初発酵素であるALAS2遺伝子変異の結果,環状鉄芽球の出現を特徴とする鉄芽球性貧血も生じうる。本稿においては,赤芽球におけるヘム生合成に関して最近の知見を中心に紹介し,ついでヘム合成系とその異常により発症する疾患のうち,血液学的に重要な鉄芽球性貧血と造血性ポルフィリン症について概説する。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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