2015 年 56 巻 6 号 p. 594-600
近年,生きたままの細胞や組織の生命現象を観察する「ライブイメージング技術」が注目されている。特に,組織深部の観察が可能な「二光子励起顕微鏡」の登場により,個体・組織を生かしたままで生きた細胞の“動き”を観察することが可能となった。我々は生体二光子励起イメージング系を駆使することで,マウスを生かしたまま骨髄内を観察する方法を確立した。この技術を用い,破骨前駆細胞の骨への遊走・骨髄内での位置決めのメカニズムを明らかにした。さらに,骨表面上での生きた成熟破骨細胞の骨吸収過程を可視化することにも成功し,破骨細胞の骨吸収制御機構を明らかにした。新たな取り組みとして,破骨細胞と骨芽細胞のカップリングの可視化や白血病細胞の骨髄内での動態解析を行っている。本稿ではこれらの研究成果の解説に加え,イメージング技術の応用と将来性について実際の画像を紹介しながら概説する。