臨床血液
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44 (EL-54)
ATLの治療
―造血幹細胞移植療法を中心に―
宇都宮 與
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2016 年 57 巻 10 号 p. 2190-2198

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抄録

ATL患者に対する同種造血幹細胞移植療法は,HLA一致の血縁者間移植や非血縁移植では30~40%の長期生存が得られている。55歳以下では骨髄破壊的前処置,50~70歳では骨髄非破壊的前処置が用いられるが,両者で生存率の差はない。化学療法に感受性のある時期での臍帯血移植は,骨髄や末梢血の治療成績に劣っていない。移植においての予後因子として年齢,性別,一般状態,寛解状態,sIL-2受容体値が同定されている。軽度の急性GVHDの発症は,生存期間の延長と関連している。移植後の再発において免疫抑制剤の中止やドナーリンパ球輸注で再寛解が得られる例があり,この現象はgraft-versus-ATL効果と考えられる。HTLV-1キャリアドナーからの移植では,まれではあるがドナー細胞由来のATL発症が報告されている。Mogamulizumabは制御性T細胞も減少させるので,同種移植前の使用は注意を要する。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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