臨床血液
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特集:がん免疫療法の最前線
がん免疫療法の基礎
藤岡 優樹西川 博嘉
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2016 年 57 巻 11 号 p. 2346-2354

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抄録

近年,がんの新たな治療法としてがん免疫療法が脚光を浴びている。固形がんにおいては抗CTLA-4抗体および抗PD-1抗体が承認され,血液がんの領域でもHodgkinリンパ腫等に対する抗PD-1抗体やCD19陽性急性リンパ性白血病等に対するCD19キメラ抗原受容体導入T細胞療法の早期臨床治験での有用性が報告されている。これらのがん免疫療法は,従来の殺細胞性の抗腫瘍製剤と異なり,生体に本来備わっている免疫系の働きを調整し,がん排除を担う抗腫瘍免疫応答を高めることによってがんを治療する。この“免疫系の働きによりがんを排除する”という概念が医薬品になったことは,これまでのがん治療に新たな選択肢をもたらした。一方で免疫応答を強めることにより特徴的な副作用がみられることも明らかになってきており,十分な対応が求められる。本稿では,がん免疫療法の全体像について概説し,今後のがん免疫療法の進展について考察する。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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