臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
赤芽球癆の同時期発症が疑われた自己免疫性溶血性貧血
安達 正晃
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 57 巻 12 号 p. 2512-2516

詳細
抄録

症例は46歳女性。生来健康であったが,2週間ほど前から易疲労感と息切れが出現し,40°C台の発熱とともに著明な倦怠感と立ちくらみを自覚したため来院した。直接・間接クームズテスト陽性,間接ビリルビン上昇,ハプトグロビン低下などの検査所見から,自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia, AIHA)と診断した。プレドニゾロン(1mg/kg)内服およびステロイドパルス療法を施行するも,貧血が遷延したため骨髄穿刺を施行した。網赤血球数が低値であり,著明な赤芽球系細胞の減少と巨大赤芽球を認め,他の血球系には異形成がないことから赤芽球癆(pure red cell aplasia, PRCA)の合併と診断した。発熱のエピソードやパルボウイルスB19 IgM抗体が陽性であることから後天性PRCAが特発性AIHAと同時期に発症した可能性も考えられ,網赤血球数の回復後に高値B19 DNA(109コピー/ml)が検出されたことから,パルボウイルス感染の遷延化が病態の修飾に関与した可能性がある。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top