2016 年 57 巻 12 号 p. 2519-2525
後天性骨髄不全症候群は,主に再生不良性貧血・発作性夜間血色素尿症・骨髄異形成症候群の三疾患により構成される。腫瘍性疾患である骨髄異形成症候群はもとより,非腫瘍性疾患である再生不良性貧血・発作性夜間血色素尿症にもクローン性造血がしばしば認められるが,骨髄不全症候群,特に再生不良性貧血におけるクローン性造血の意義に関しては不明な点が多い。近年の次世代シーケンス技術を用いた遺伝子解析が実施され,これら三疾患における多様なクローン構造が明らかになってきている。また,健常人においても加齢に伴い変異が蓄積することが解明されている。本稿では,骨髄不全症候群における遺伝子変異の最新の知見について,健常人における遺伝子変異も交えて概説する。