臨床血液
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特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2016(血小板・凝固・線溶系疾患)―
先天性血栓性素因
小嶋 哲人
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ジャーナル 認証あり

2016 年 57 巻 3 号 p. 315-321

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抄録
止血血栓形成に関わる血液凝固関連因子や制御因子の先天的な異常により血栓症を発症する疾患群は先天性血栓性素因と呼ばれる。先天性血栓性素因に伴う血栓症は,主に静脈血栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症合わせて静脈血栓塞栓症)として発症し,再発しやすいこと,ときに腸間膜静脈や上矢状静脈洞など非典型的部位での発症,50歳以下の比較的若年者での発症,しばしは家族内発症を認めることなどの特徴がある。先天性血栓性素因の原因には様々な凝固関連遺伝子の異常が報告されているが,アンチトロンビン,プロテインC,プロテインSなどの生理的凝固阻止因子の遺伝子異常による先天性血栓性素因は日本人にも数多く報告されている。また,未だ原因不明の遺伝性血栓症も存在し,最近我々は通常では出血傾向となるプロトロンビン異常症で逆に血栓症の原因となる遺伝子異常を同定し,新しい血栓性素因・アンチトロンビンレジスタンスとして報告した。
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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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