臨床血液
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Symposium 3
小児造血器腫瘍に対するキメラ抗原受容体を用いた遺伝子改変T細胞療法
中沢 洋三
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2016 年 57 巻 6 号 p. 701-708

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抄録
キメラ抗原受容体(CAR)は,腫瘍関連抗原を標的とした合成T細胞受容体の総称である。CARの多くは,細胞外領域(scFvまたはリガンド),ヒンジ領域,膜貫通領域および細胞内シグナル伝達領域(CD28, 4-1BBなどの共刺激分子とCD3ζ鎖)から構成される。CD19 CAR-T細胞療法はB細胞性腫瘍に対してきわめて有効で,再発・治療抵抗性急性リンパ性白血病(ALL)患者の70~90%を完全寛解に導く。B細胞性腫瘍に対しては,第三者ドナーを含む同種CD19 CAR-T細胞療法の臨床開発も期待されている。一方,骨髄腫,急性骨髄性白血病,T細胞性白血病などの他の血液腫瘍に対するCAR-T細胞療法はいまだ開発段階にある。現在,筆者らのグループは,小児・若年成人のALLを対象としたpiggyBacトランスポゾンベクターによる非ウイルス遺伝子改変CD19 CAR-T細胞療法の臨床試験の準備を進めている。
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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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