臨床血液
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臨床研究
治療後長期生存が得られた心不全合併ALアミロイドーシス症例の検討
賀川 久美子前田 悠作大浦 雅博曽我部 公子藤野 ひかる髙橋 真美子丸橋 朋子岩佐 昌美宇高 憲吾原田 武志伊勢 孝之藤井 志朗中村 信元三木 浩和八木 秀介竹内 恭子尾崎 修治安倍 正博
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2017 年 58 巻 11 号 p. 2197-2204

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抄録

ALアミロイドーシスは,多発性骨髄腫やMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)などのモノクローナルな形質細胞が産生する免疫グロブリン軽鎖および重鎖が,アミロイド線維として組織に沈着し,臓器障害を惹起する難治性疾患である。なかでも心アミロイドーシス(以下CA)は,心不全症状が出現してからは,無治療の場合極めて予後不良であるため,その管理・治療が重要である1)。ALアミロイドーシスに対しては,自家末梢血幹細胞移植併用メルファラン大量療法(以下ASCT)の有効性が報告されているが,CAにおいては治療関連毒性が強く,その適応を慎重に検討する必要がある2, 3)。近年,多発性骨髄腫において,ボルテゾミブ(Bor)や,免疫調節薬であるサリドマイド(Thal)やレナリドミド(Len)などの新規薬を用いた治療により,治療成績が向上している。ALアミロイドーシス症例においてもこれらの新規薬の有効性が示され,CAに対しても,重篤な有害事象の発生率が低く,有効であったとの報告がある4~6)。しかしながら,その長期の治療成績や予後については,十分な情報がない。そこで我々は,当科において治療し,長期生存が得られた心不全合併CA例について,後方視的に検討した。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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