2017 年 58 巻 12 号 p. 2369-2374
Azacitidine(AZA)は骨髄異形成症候群に対する有用な治療薬であるが,血液透析例における報告は少なく,腹膜透析例の報告はない。我々は腹膜透析中に発症したacute myeloid leukemia with myelodysplasia-related changes(AML-MRC)に対しAZA療法が奏効した1例を経験した。症例は85歳,男性。2014年4月,慢性腎不全に対し腹膜透析が導入された。2015年2月,汎血球減少が出現し,骨髄検査にて芽球の増加と3系統の血球形態異常を認めAML-MRCと診断した。高齢で腎障害を有していたことからAZA療法を選択した。重篤な副作用はなく血球は増加し,1コース後に赤血球輸血が不要となり,3コース後には血液学的寛解に至った。AZA療法は本例のような腹膜透析中のAML-MRCに対しても有効で安全な治療選択肢となる可能性が示唆された。