臨床血液
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症例報告
血小板凝集能低下により止血が困難であった骨髄異形成症候群
田中 智之小堺 貴司北嶋 俊樹布施 香子小林 弘典牛木 隆志柴崎 康彦森山 雅人瀧澤 淳曽根 博仁布施 一郎増子 正義
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2017 年 58 巻 12 号 p. 2402-2405

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抄録

症例は75歳の女性。血液検査で貧血と末梢血に芽球を認められたため,当院を紹介受診した。骨髄穿刺で骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome with excess blasts 2, MDS-EB-2)と診断された。血球減少の進行や芽球の増加,および出血症状はなく経過していた。診断から10ヶ月後,左手母指球に外傷を負い,内出血が持続し,止血困難となったため緊急入院した。血小板数は正常範囲であったが,血小板機能検査でコラーゲン凝集能とアラキドン酸凝集能の低下を認められた。抗血小板薬の内服はなく,またこれまで出血傾向の既往もなかったことから,MDSによる2次性の血小板機能低下による出血と判断し,血小板輸血を行い止血した。MDSの患者では,潜在的に血小板凝集能が低下していることが多く,血小板数の割に出血傾向が強い場合には血小板凝集能を調べ,血小板輸血などの治療介入を検討する必要がある。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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