臨床血液
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症例報告
B前駆細胞性急性リンパ性白血病と診断された難治性小児double-hit lymphoma/leukemia
植村 優長谷川 大一郎横井 健人二野 菜々子太原 鉄平田村 彰広齋藤 敦郎神前 愛子岸本 健治石田 敏章川崎 圭一郎山本 暢之森 健西村 範行小阪 嘉之
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2017 年 58 巻 2 号 p. 143-149

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抄録

症例は10歳女児。左頬部腫瘤と歯肉腫脹,末梢血中の異常細胞の出現を主訴に当院紹介入院となった。骨髄検体による表面マーカー検査ではCD10,19,TdT,HLA-DR陽性,CD20陰性でありB前駆細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)と診断した。BCP-ALL型の治療を開始したが,末梢血中の白血病細胞は残存していた。寛解導入療法終了時の骨髄検体による表面マーカー検査ではCD19,CD20,HLA-DR陽性でCD10,TdT陰性で形態学的にも初診時と異なる白血病細胞が81.3%占めていた。染色体検査の結果,IgH/BCL2Igλ/C-MYCの転座を伴うdouble-hit lymphoma/leukemia(DHL)と診断した。Rituximabを用いた治療により一旦寛解に至ったが,治療中に骨髄および中枢神経再発を認めた。化学療法を継続したが,再寛解に至らず髄外病変も再度出現した。再発時は初診時と同様の表面マーカーをもつ白血病細胞が出現していた。非寛解状態で臍帯血移植を行ったが,移植後44日目に原病により死亡した。小児期発症のDHLは極めて稀で,成人では進行が急速かつ治療抵抗性と言われており予後不良である。今後,治療法の確立が望まれる。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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