2017 年 58 巻 4 号 p. 309-314
成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATL)はHTLV-1ウイルスによって引き起こされる予後不良のT細胞性造血器腫瘍である。再発難治性ATLでは抗CCR4抗体であるmogamulizumabの有用性が認められている。Mogamulizumabの代表的な有害事象として,インフュージョン・リアクション,皮膚障害などが知られているが,心不全合併例の報告は少ない。一方,HTLV-1感染者の比較的稀な合併症の一つにHTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy, HAM)があるが,ATLとの合併例の報告は極めて稀である。今回我々は,再発性のATLに対するmogamulizumab投与後に,たこつぼ型心筋症を合併し,その回復後にHTLV-1関連脊髄症(HAM)を発症したと考えられた症例を経験したので報告する。