臨床血液
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58 巻, 4 号
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Picture in Clinical Hematology
総説
  • 難治性疾患等政策研究事業「血液凝固異常症に関する調査研究班」TTPグループ , 松本 雅則, 藤村 吉博, 和田 英夫, 小亀 浩市, 宮川 ...
    2017 年 58 巻 4 号 p. 271-281
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル オープンアクセス

    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,予後不良の急性疾患であるため適切な診断と治療が重要である。TTPは血小板減少と溶血性貧血を中心とした臨床所見で診断されてきたが,最近では臨床所見に加えADAMTS13活性10%未満が国際的なTTP診断基準となり,本診療ガイドでもこの診断基準を踏襲した。さらに,ADAMTS13に対する自己抗体が陽性であれば後天性,ADAMTS13遺伝子異常があれば先天性と診断する。治療法は,先天性TTPではADAMTS13を補充するため新鮮凍結血漿(FFP)を輸注する。後天性TTPでは,ADAMTS13を補充し自己抗体を除去するなどを目的としてFFPを置換液とした血漿交換を行う。自己抗体産生抑制のためステロイド療法が血漿交換に併用されることが多いが,最近では難治性・再発性症例には,CD20に対するモノクローナル抗体リツキシマブが有効であることが報告されている。

臨床研究
  • 橋田 里妙, 小橋 澄子, 加藤 淳, 菊池 拓, 櫻井 政寿, 外山 高朗, 甲田 祐也, 山根 裕介, 安部 涼平, 清水 隆之, 山崎 ...
    2017 年 58 巻 4 号 p. 282-286
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    欧米とは異なり我が国では慢性リンパ性白血病(CLL)は稀なリンパ系腫瘍であり,日本人患者における臨床的特徴は明らかにされていない。そこで当院にて診断された初発の日本人CLL患者29例の後方視的解析を行った。診断時の年齢中央値は62歳で,男性が17例(59%)で,診断からの観察期間の中央値は69ヶ月(範囲:3~170ヶ月)で9例が治療介入されていた。経過中3例が死亡し,死因は原病の増悪±感染症2例,皮膚がん1例であった。5年全および無治療生存率は83%(95%CI,46~96%),67%(95%CI,45~81%)であった。治療抵抗例2例は同種造血幹細胞移植が行われ,移植後53ヶ月と110ヶ月の時点で無病生存していた。これらの結果から日本人CLLの経過は欧米のそれと相違がないことが示唆されたが,その特徴および長期経過についてさらに明らかにするためにより多くの症例による解析が必要である。

症例報告
  • 山田 充子, 黒田 裕行, 佐藤 健, 三浦 翔吾, 飴田 咲貴, 坂野 浩也, 柴田 敬典, 植村 尚貴, 安部 智之, 藤井 重之, 前 ...
    2017 年 58 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    症例は71歳,女性。2014年9月に血尿のため初診し,膀胱炎として加療された。2010年より関節リウマチのためmethotrexate(MTX)とprednisoloneを内服していた。胸腹部CTで膀胱腫瘍の肺および副腎転移が疑われ,経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of the bladder tumor, TUR-BT)を施行した。膀胱腫瘍の病理組織学的検査では大型の異型リンパ球を認め,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。TUR-BT後,10月のCTではMTXを継続していたにも関わらず,膀胱腫瘍とともに認められていた多臓器浸潤の縮小を認めた。MTX-related lymphoproliferative disorders(MTX-LPD)と診断し,11月にMTXを中止したところ腫瘍は縮小し,2015年3月のfluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)で完全奏効が得られた。

  • 酒村 玲央奈, 平賀 潤二, 北川 諭, 伊藤 雅文, 梶口 智弘, 水野 伸一
    2017 年 58 巻 4 号 p. 292-297
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    症例は75歳の生来健康な男性。主訴は鼻出血,紫斑,倦怠感。下部消化管内視鏡検査にて大腸粘膜に多発するポリープ病変を認めたが病理所見では確定診断に至らなかった。精査,加療目的で当院に紹介され再評価したところ免疫染色でS100,vimentin,fascinが陽性で指状嵌入型樹状細胞肉腫(interdigitating dendritic cell sarcoma, IDCS)と診断。血液検査では汎血球減少および血清LDH,血清CEAの上昇を認めた。骨髄生検にてIDCSの骨髄浸潤の所見を認めた。PET/CTで全身骨への異常集積を認めた。CHOPを施行したが無効であり,ABVDに切り替えたところPET/CT所見および下部消化管内視鏡検査の所見が改善し,血清CEAは正常化した。IDCSは非常に稀な疾患であり標準的治療は未確定であるが本症例においてABVDはIDCSに対して有効かつ安全に実施可能であった。さらに血清CEAが病勢を反映したことが示唆された。

  • 雨宮 文惠, 伊藤 良和, 石橋 康則, 齋藤 優, 片桐 誠一朗, 勝呂 多光子, 浅野 倫代, 吉澤 成一郎, 赤羽 大悟, 田中 裕子 ...
    2017 年 58 巻 4 号 p. 298-302
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    53歳の女性。26歳頃より本態性血小板血症として近医にて経過観察されていた。白血球増加,貧血進行により紹介受診し,BCR-ABL1陽性慢性骨髄性白血病と診断された。同時にJAK2-V617F変異も認め,巨大脾腫を伴った。Dasatinibにて至適奏効となるも,巨大脾腫は残存し,骨髄生検では骨髄線維症の所見であった。脾腫の増大に伴い4年5ヶ月目で,IS(国際指標で補正された値)にて分子遺伝学的奏効(MR)4.5を確認後,dasatinibを中止,ruxolitinibを開始した。その5ヶ月後の時点で脾腫は顕著に縮小した。本例では,JAK2-V617F変異を有する腫瘍細胞のサブクローンにBCR-ABL1を生じたと推測された。

  • 宮本 由夏, 宇髙 憲吾, 関本 悦子, 柴田 泰伸, 大塚 加奈子, 森 敬子, 重清 俊雄, 尾崎 修治
    2017 年 58 巻 4 号 p. 303-308
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    エロモナス菌は下痢症や急性腸炎の原因菌として知られているが,報告例は少なく,発症機序は明らかにされていない。我々は,造血器腫瘍の治療中にエロモナス菌による重症大腸炎をきたした2例を経験した。基礎疾患は多発性骨髄腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であり,いずれも1週間以上持続する下痢,血便を主訴に来院した。下部消化管内視鏡検査では結腸や直腸に広範なびらんや潰瘍を認め,生検では粘膜固有層から粘膜下層に好酸球や好中球の浸潤を認めた。便培養よりAeromonas hydrophilaAeromonas sobriaが検出されたことよりエロモナス腸炎と診断し,ciprofloxacinを経口投与したところ,症状は著明に軽快した。本例のような造血器腫瘍患者や免疫不全患者においては,エロモナス菌感染症が重症化する危険性があり,鑑別診断を行うとともに適切な抗生剤治療を開始することが重要であると考えられた。

  • 山中 聡, 中山 一隆, 玉井 勇人, 酒巻 雅典, 猪口 孝一
    2017 年 58 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATL)はHTLV-1ウイルスによって引き起こされる予後不良のT細胞性造血器腫瘍である。再発難治性ATLでは抗CCR4抗体であるmogamulizumabの有用性が認められている。Mogamulizumabの代表的な有害事象として,インフュージョン・リアクション,皮膚障害などが知られているが,心不全合併例の報告は少ない。一方,HTLV-1感染者の比較的稀な合併症の一つにHTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy, HAM)があるが,ATLとの合併例の報告は極めて稀である。今回我々は,再発性のATLに対するmogamulizumab投与後に,たこつぼ型心筋症を合併し,その回復後にHTLV-1関連脊髄症(HAM)を発症したと考えられた症例を経験したので報告する。

  • 佐藤 和之, 酒井 広隆, 内田 晶子, 上村 悠, 鶴岡 由佳, 横井 聡, 西尾 有司, 松縄 学, 鈴木 義則, 磯部 泰司, 加藤 ...
    2017 年 58 巻 4 号 p. 315-322
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    70歳,男性。汎血球減少で当科を紹介された。骨髄の芽球比率は75.4%で,微小巨核球が増加していた。芽球はミエロペルオキシダーゼ陽性,CD2・CD13・CD33・CD34・CD56・CD117・HLA-DR陽性で,MYCを発現していた。染色体分析の結果は45,XY,t(3;8) (q26.2;q24),−7[6]/46,XY[14]で,FISHによりecotropic viral integration site 1EVI1)遺伝子が再構成していることがわかった。急性骨髄性白血病(WHO分類:AML with maturation)と診断し,アントラサイクリン・シタラビン併用療法を2回行い寛解を得た。t(3;8)転座は3q26.2/EVI1のまれな単純変異転座で,白血病の予後不良因子の一つである。単純変異転座を持つ白血病の病態を明らかにすることは治療法の確立につながる。

短報
特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2017―
特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2017 (赤血球系疾患)―
  • 川端 浩
    2017 年 58 巻 4 号 p. 327-328
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり
  • 亀崎 豊実
    2017 年 58 巻 4 号 p. 329-335
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断と治療で,標準となっているクームス試験とステロイド治療に関わる最近の進展について解説した。クームス試験は免疫性と非免疫性溶血を区別する画期的な検査であり,AIHAの90%以上で陽性を示すが,クームス陰性AIHAという‘悩ましい枠’を作り出した。この枠を越える試みとして,本邦ではクームス試験感度以下の赤血球結合IgG定量が行われ,感度・特異度,診断カットオフ値等も明らかになっているが,RIA法による検査のため普及していない。近年,簡易ではあるが半定量法であったフローサイトメトリー法で定量法が新たに報告され,今後の発展・普及が期待される。治療においては,ステロイド薬に匹敵する治療法として,抗体療法が有効性と安全性から第2・3選択,さらには第1選択の治療法(ステロイド薬との併用)としても注目されており,エビデンスの高い臨床研究が報告されている。

  • 松田 晃
    2017 年 58 巻 4 号 p. 336-346
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    細胞形態学的評価は骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)の診断に重要であるが,複数の問題点がある。MDSの診断のための異形成のWHO分類の定義である閾値(10%)は十分に検討されたものではない。MDSの診断のための異形成の細胞形態学的定義には不明確な点もある。国際MDS形態ワーキンググループ(International Working Group on Morphology of MDS, IWGM-MDS)からの細胞形態学的定義に関する提唱が報告されている。MDS診断のためには,異形成はMDSに特異性が高いものとそうでないものに区分すべきである。異形成の特異性を考慮した定量的異形成評価方法が,「特発性造血障害に関する調査研究班」と「Rete Ematologica Lombarda(REL)clinical network」から報告されている。

  • 張替 秀郎
    2017 年 58 巻 4 号 p. 347-352
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    鉄芽球性貧血は赤芽球のミトコンドリアに鉄の異常沈着を認める貧血であり,遺伝性・後天性に大別される。前者は,ヘム合成,鉄-硫黄クラスター合成・輸送に関わる遺伝子,ミトコンドリアDNA遺伝子などの先天変異により発症し,後者は主として骨髄異形成症候群の一型(MDS-RS)として発症する。遺伝性のうち,最も頻度が高い鉄芽球性貧血は,赤血球型5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)遺伝子の変異によるX連鎖性鉄芽球性貧血であるが,遺伝性鉄芽球性貧血そのものの頻度は後天性と比べ極めて低い。最近の大規模ゲノム解析により,MDS-RSにおいてRNAのスプライシングに関わるSF3B1遺伝子の変異が極めて高率に認められることが明らかとなり,本遺伝子の変異がMDS-RSの診断や病態において重要な意義を持つようになった。ただし,先天性・後天性いずれの場合でも,遺伝子変異がどのように鉄芽球性貧血の発症に関わっているか十分に解明されていない。

  • 木下 タロウ
    2017 年 58 巻 4 号 p. 353-362
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は,X染色体遺伝子であるPIGAに体細胞突然変異を起こしてGPIアンカーを欠損した造血幹細胞がクローン性に拡大し,発症する。補体から細胞を保護するGPIアンカー型タンパク質であるDAF/CD55とCD59の欠損により,血管内溶血と血栓を引き起こす。これら2主徴は,抗C5抗体であるエクリズマブによって抑えることができる。第3の主徴である骨髄不全は,自己免疫性であり,GPIアンカー欠損クローンの拡大に関与する。エクリズマブの働きで補体による溶血を免れたPNH型赤血球上には,3型補体レセプターのリガンドであるC3由来断片が時間とともに蓄積し,脾臓マクロファージによる血管外溶血を起こす。日本人の3%は,エクリズマブ結合部位近傍のアミノ酸を変化させる遺伝子多型を持ち,PNH症例の3%がエクリズマブに不応である。これらの課題を解決する新たな治療薬の開発が望まれる。

特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2017 (骨髄系疾患)―
  • 山口 博樹
    2017 年 58 巻 4 号 p. 363
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり
  • 小林 幸夫
    2017 年 58 巻 4 号 p. 364-372
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    急性骨髄性白血病は病態の理解が急速に進んでいる。治療関連の白血病では,抗がん剤投与前のゲノム異常がわかり,急性骨髄性白血病の発症の原因がすでに抗がん剤治療前から存在することがわかった。完全寛解とされる状態でもゲノム異常は残存しており,必ずしも,「完全」ではない状態で再発しない状態であることが明らかになった。これらの病態は,いずれも微少な腫瘍細胞数では,急性骨髄性白血病にはならないことを示しており,clonal hematopoiesis of indeterminate potentialの概念につながっている。治療薬に関しては,第3相試験で従来の標準療法に上乗せ効果のあるmidostaurinが開発され,また,ミセル化されたcytarabineとdaunorubicinの合剤は,標準療法を越えた。さらに,あらたな分子標的を阻害する複数の薬剤が早期相の試験に入っている。Smo,NEDD8 activating enzyme,クロマチン修飾の阻害剤を取り上げた。

  • 波多 智子
    2017 年 58 巻 4 号 p. 373-380
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析によりMDSの90%に遺伝子変異が認められ,診療上重要な情報をもたらしている。2016年WHO分類が改訂され,環状鉄芽球を有するMDSに高頻度に認められるSF3B1遺伝子変異が診断に組み込まれた。SF3B1遺伝子変異は予後良好であること,ASXL1EZH2RUNX1,特にTP53は予後不良であるとされる。治療においては,低リスク群にダルベポエチンが使えるようになった。またレナリドミドの作用機序にCSNK1A1の関与が明らかになった。治癒が期待できる唯一の治療法が造血幹細胞移植であり,移植の対象とならない高リスクMDSにはアザシチジンを投与する状況は変わらない。TET2DNMT3AASXL1RUNX1TP53変異は同種移植でも予後不良であり,TP53PTPN11変異はAZAへの反応性にかかわらず生存期間が有意に短い。TP53変異は造血幹細胞移植の成績もAZAの成績も不良であるが,10日間のデシタビン投与がTP53変異症例に良好に反応したことが示された。今後ますます遺伝子診断の重要性が増すと思われる。

  • 嬉野 博志, 進藤 岳郎, 田中 秀則, 木村 晋也
    2017 年 58 巻 4 号 p. 381-388
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    慢性骨髄性白血病(CML)の長期予後は,BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場で劇的に改善した。特筆すべきことに,TKIで分子遺伝学的寛解を一定期間維持した症例の約半数はTKIの内服中止後も寛解を維持でき,TKI治療のみでCMLが治癒に至る可能性があることが明らかになってきた。近年の研究により,TKIの治療効果やTKI中止後の寛解維持には腫瘍免疫,特にNK細胞の関与が示唆されているが,その機序には不明な点が多い。その中にあって,NK細胞の活性化を制御する分子killer immunoglobulin-like receptor(KIR)のgenotypeがTKIの治療効果に相関する可能性がある。本稿ではKIRの概説に加え,CMLにおけるKIRの関わりについて俯瞰する。

  • 柴 徳生
    2017 年 58 巻 4 号 p. 389-399
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル 認証あり

    小児急性骨髄性白血病(AML)は,様々な染色体異常,遺伝子異常を背景に有するヘテロな疾患である。これらの異常の多くが予後に相関しているが,まだ遺伝学的背景を同定できない症例が一定数存在する。次世代シーケンサーの登場により,成人AMLでは,網羅的な遺伝子解析が行われ,DNMT3AIDHなどの遺伝子変異が複数同定されているが,小児ではこれらの変異はまれであり,その遺伝学的な基盤が異なることが明らかとなってきた。著者らは全exome,全transcriptome,遺伝子発現解析を行い,PRDM16EVI1の高発現が予後不良であることを見出し,正常核型症例やFLT3-ITD陽性例を中心に遺伝学的背景を明らかにし,その違いから予後層別化を可能にしつつある。今後,臨床研究と連動して,より的確な層別化を確立し,さらに,明らかになったゲノム異常から新たな標的に対する分子標的薬剤が開発・臨床応用されることが期待される。

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