臨床血液
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Presidential Symposium
PD-L1遺伝子の構造異常を介したがんの免疫回避に関わる新しいメカニズム
小川 誠司
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2017 年 58 巻 8 号 p. 957-965

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抄録

抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体の優れた臨床効果は,PD-1/PD-L1相互作用を介した抗腫瘍免疫からの回避の発がんにおける重要性は明らかであるが,そのメカニズムについては不明な点も多い。今回,我々は悪性リンパ腫その他の様々ながんにおいて,PD-L1遺伝子の3′-UTRを含むゲノムの構造異常が生じていることを明らかにした。PD-L1転写産物の発現は,その3′-UTRを介したRNA decayによって負に調節されていることが示される。PD-L1の3′-UTRの構造異常を有するがん細胞では,正常の3′-UTRが破壊されることにより,この制御機構が破綻することにより,PD-L1の過剰発現が生じ,がん細胞が,細胞障害性T細胞(CTL)による免疫監視から逃れることを可能にすると考えられる。本稿では,がんにおけるPD-L1遺伝子3′-UTRの構造異常とこれを介した免疫回避の機構について概説する。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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