臨床血液
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症例報告
高IgM血症を伴いWaldenströmマクログロブリン血症との鑑別を要したMALTリンパ腫
和泉 真太郎木村 賢司竹田 勇輔塚本 祥吉山﨑 美貴三科 達三長井 友莉恵高石 浩司永尾 侑平大島 渚三川 紫緒三村 尚也武内 正博大和田 千桂子井関 徹太田 聡中世古 知昭堺田 惠美子
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2018 年 59 巻 12 号 p. 2600-2605

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抄録

60歳男性。C型肝炎に対する定期採血で血清IgM高値(9,500 mg/dl),IgM-κ型M蛋白を認め当科受診した。全身CTで肺腫瘤,腹腔内リンパ節腫脹,両側腎周囲軟部陰影増大,膀胱壁肥厚を認め,FDG-PET/CTにて同部に異常集積を認めた。肺腫瘤生検にて中型リンパ球と形質細胞の増殖を認め,免疫染色にてCD138,IgM陽性,Ki-67低値,周囲リンパ球はCD20陽性,PAX-5陽性のB細胞であった。病変は粘膜を主体とし,IgH-MALT1陽性,IgH-Bcl2陰性,アリル特異的PCR法でMYD88 L265P変異は陰性であった。血清IgMが著明高値にて,当初Waldenströmマクログロブリン血症が鑑別上位と考えられたが,節外性濾胞辺縁帯粘膜関連リンパ組織型リンパ腫と最終診断した。血清IgM高値を伴う血液悪性腫瘍の鑑別診断におけるMYD88 L265P変異解析は鑑別診断の一助となる可能性が示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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