臨床血液
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症例報告
著明な好酸球増多を契機に診断された慢性骨髄性白血病
長谷山 美仁武田 紫熊野 弘毅
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2018 年 59 巻 12 号 p. 2594-2599

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抄録

80歳女性。発熱と下腿浮腫が出現し,近医を受診したところ著明な好酸球増多を指摘され当科紹介となった。フィラデルフィア染色体陽性で慢性骨髄性白血病の診断となった。イマチニブ投与で一旦細胞遺伝学的完全寛解となったが,開始後約28ヶ月で血液学的および細胞遺伝学的寛解の喪失を認めた。ニロチニブに変更し再度細胞遺伝学的完全寛解となったが約14ヶ月で疾患の進展を認めダサチニブに変更したが効果は一過性であり,原疾患のため永眠となった。増悪時は好中球増多が優位の通常の慢性骨髄性白血病のパターンであった。末梢血で好酸球割合が50%を超えた慢性骨髄性白血病は過去に6例報告があり,男性で触知可能な脾腫を持つ例が多く,非血液学的合併症として心臓障害や血管障害,胸水などを伴うという特徴があった。慢性骨髄性白血病は一般には好中球優位の白血球増多を示すが,稀に好酸球優位の増多を示し,慢性好酸球性白血病や特発性好酸球増多症と類似する一群があることに注意が必要である。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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