臨床血液
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特集:免疫細胞療法の現状と今後の展望
造血幹細胞移植における間葉系幹細胞を用いた細胞療法
後藤 辰徳村田 誠
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2018 年 59 巻 2 号 p. 195-204

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抄録

同種造血幹細胞移植において,免疫調整作用と造血支持作用を併せ持つ間葉系幹細胞(MSC)を用いた治療が数多く試みられており,新たな細胞療法として注目されている。MSCの有する免疫調整作用は移植片対宿主病(GVHD)に対する治療に応用され,多くの臨床試験が行われてきた。わが国では,国内初の他家由来再生医療等製品としてヒトMSC製剤が承認され,急性GVHDに対する治療薬として実臨床において使用が始まった。また,MSCの有する造血支持作用にも着目して,移植する造血幹細胞とともにMSCを輸注することで,GVHD予防,さらには生着促進の効果を得ようとする試みが,臍帯血移植やHLA不適合移植において行われており,一部ではその有効性が報告されている。本稿では,これまでに実施されてきた造血幹細胞移植におけるMSC治療の臨床試験等について概説するとともに,MSC治療の今後の可能性と課題について考察する。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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