臨床血液
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特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2018 (赤血球系疾患)―
先天性骨髄不全症候群
—最新の診療(クリニカルシークエンスの可能性など)—
村松 秀城
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2018 年 59 巻 6 号 p. 716-722

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抄録

先天性骨髄不全症候群は,患者の有する遺伝子変異が原因となり造血不全を合併する症候群の総称であり,ファンコニ貧血,ダイアモンド・ブラックファン貧血,先天性角化不全症など,25以上の疾患を含んでいる。血液学的検査・身体所見をもとに診断を進めることが基本であるが,ファンコニ貧血における染色体脆弱性試験などの疾患特異的な検査が有用である。近年の臨床遺伝学的手法を用いた研究の進展により,多数の先天性骨髄不全症の原因遺伝子が同定されており,遺伝学的検査が先天性骨髄不全症の診断に果たす役割はさらに大きくなっている。効率よく遺伝子診断を行うことを目的として,先天性造血不全症候群を対象とした次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子診断システムが国内外で構築されている。100以上の疾患原因遺伝子を同時に解析・評価することが技術的に可能となっており,臨床での広範な利用が期待される。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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