臨床血液
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症例報告
All-trans retinoic acid/arsenic trioxide併用療法が有効であった透析患者に合併した急性前骨髄球性白血病
長尾 陸細羽 梨花矢萩 裕一郡司 匡弘瓜生 英樹服部 大樹桃木 真美子山﨑 博之
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2019 年 60 巻 10 号 p. 1431-1435

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抄録

多発性嚢胞腎により1999年より血液透析を導入していた55歳男性。汎血球減少や易感染性を認めたため,骨髄検査を施行したところ,急性前骨髄球性白血病(APL)の診断となった。All-trans retinoic acid(ATRA)を用いて寛解導入療法を施行したが,FISH法でPML-RARA陽性細胞の残存を認め,治療抵抗性APLと判断した。引き続きATRA/arsenic trioxide(ATO)併用療法を導入したところ,分子遺伝学的寛解を確認したため治療を継続し,治療開始2年後も完全寛解を維持している。APL罹患前から嚢胞感染を繰り返していたが,ATRA/ATO併用療法施行中も同様の感染を繰り返すのみで,治療中断に繋がるような有害事象は認めなかった。ATRA/ATO併用療法は,透析患者に合併した治療抵抗性のAPLに対する安全かつ有効な治療法の一つと考えられる。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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