臨床血液
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症例報告
同種移植後再発に対してelotuzumabによる治療を行った多発性骨髄腫
佐藤 広太塚田 信弘梨本 淳一郎宇藤 唯宮崎 寛至小倉 瑞生吉識 由実子阿部 有岡塚 貴世志石田 禎夫鈴木 憲史
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2019 年 60 巻 12 号 p. 1635-1640

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抄録

Elotuzumab(ELO)は再発・難治性多発性骨髄腫に対する有効性が示されているが,同種移植後の投与例は報告がない。我々は同種移植後にELd療法(ELO,lenalidomide(LEN),dexamethasone)を行った2例を経験した。1例は11レジメンによる治療後に臍帯血移植を施行し,移植後140日でELd療法を導入した。既存の皮膚graft-versus-host disease(GvHD)は増悪なく,ELd療法開始後6ヶ月で免疫抑制剤を中止可能であった。2例目は6レジメンによる治療後,非血縁者間骨髄移植を施行した。移植後544日で他の維持療法からELd療法へ変更したが,既存の皮膚慢性GvHDは改善し,2コース終了時には免疫抑制剤が中止可能であった。同種移植後のLEN維持療法はGvHDを悪化させるとされているが,ELOを含むELd療法は安全に施行できる可能性がある。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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