臨床血液
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症例報告
EBウイルス感染細胞由来のVEGFが全身性浮腫の原因と考えられた血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
高田 耕平河村 俊邦河野 貴子曽根 岳大小縣 開齋藤 啓太岡田 陽介田地 規朗寺本 昌弘加藤 章一郎前川 隆彰小林 真一佐藤 謙佐藤 仁哉木村 文彦
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キーワード: AITL, Systemic edema, VEGF, EBV
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2019 年 60 巻 12 号 p. 1647-1651

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抄録

69歳の女性。3週間で30 kgの体重増加および両側下腿浮腫発症を契機にネフローゼ症候群疑いで当院へ紹介となった。尿検査では尿蛋白は微量であり,ネフローゼ症候群は否定され,CT検査で全身の皮下浮腫および胸腹水貯留,頸部・腋窩リンパ節腫脹を認めた。腋窩リンパ節生検を行い,angioimmunoblastic T-cell lymphomaと診断した。CHOP療法1コースで,腫大していたリンパ節は縮小し,全身の浮腫も改善した。CHOP療法を計6コース施行し完全寛解となった。治療前の血中vascular endothelial growth factor(VEGF)が高値で,治療後に正常化したことより,全身性浮腫の原因としてVEGFによる血管透過性亢進作用が関与したと考えられた。また,生検検体の病理検査結果でCD20陽性のB細胞にEBERおよびVEGF陽性が確認され,EBV感染細胞によるVEGFの分泌が病態に関連している可能性が考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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