2019 年 60 巻 12 号 p. 1652-1656
初発時70歳女性。急性骨髄性白血病(AML)に対して化学療法が施行され寛解に至った。その6年後に白血球増多と胸水貯留が出現し,骨髄検査で骨髄異形成/増殖性腫瘍(MDS/MPN)の診断を得た。さらに1年後に発熱とリンパ節腫脹が出現し,リンパ節生検で末梢性T細胞性リンパ腫非特異型(PTCL-NOS)の診断に至り,化学療法で部分寛解を達成した。加療終了52日目に末梢血中に骨髄芽球が認められ,リンパ節腫脹も再燃し,AMLの再発およびリンパ腫の再燃と考えられた。MDS/MPN時の骨髄検体とリンパ腫発症時リンパ節生検検体から共通するTET2変異が認められ,加齢や化学療法を背景としたクローナルな造血系遺伝子異常を背景としてAMLとPTCL-NOSが同時に発症した可能性が示唆された。