2019 年 60 巻 12 号 p. 1663-1668
症例は65歳,男性。多発リンパ節腫大を契機として,芽球型マントル細胞リンパ腫(blastoid MCL),stageIVAと診断された。Ki-67 indexは93%と高値を示した。CHASER療法4コース後にPRとなり,自家移植を行った。移植後2ヶ月でCRを確認するも,移植後6ヶ月に左上腕腫瘤で再発した。FDG-PET/CTでは,上腕腫瘤に加え,多発リンパ節病変と右大脳に3 cm大の腫瘤を認めた。多剤併用化学療法に抵抗性を示し,上腕腫瘤と大脳病変への局所放射線照射45 Gyを行い縮小が得られたが,非照射病変の腹腔内リンパ節が増大した。腹腔内巨大病変への局所放射線照射41 Gyに並行して,ibrutinib 560 mgを開始したが,1ヶ月後にはPDとなり,再発から5ヶ月で原病死された。Ki-67 index高値を呈するblastoid MCLの予後は極めて不良である。中枢神経浸潤のリスクも高くその予防を含む治療選択を要し,ibrutinib移植後維持療法は中枢神経移行からも選択肢となり得るが,さらなる治療成績改善のための試みが必要と考えられる。