臨床血液
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症例報告
腸管症関連T細胞リンパ腫と同時期に発症したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫のcomposite lymphoma
今西 大介波多 智子今泉 芳孝新野 大介大島 孝一宮﨑 泰司
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2019 年 60 巻 3 号 p. 197-202

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抄録

症例は73歳男性。腫大した頸部リンパ節の生検で低悪性度B細胞リンパ腫非特定型と診断され,無治療で経過観察されていた。5年後貧血が進行し,小腸内視鏡で中部小腸に狭窄と全周性の潰瘍性病変を認め,生検の結果,腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)と診断された。同時期に腫大した腋窩リンパ節生検を施行し,Epstein-Barr virus陰性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と末梢性T細胞リンパ腫,非特異型(PTCL,NOS)の病変の存在が疑われた。遺伝子検査を施行し,免疫グロブリンH鎖遺伝子およびT細胞受容体β鎖とγ鎖遺伝子の再構成を認めたことより,腋窩リンパ節はDLBCLとPTCLのcomposite lymphomaであり,EATLはdiscordant lymphomaと考えられた。本例は臨床経過に応じてリンパ節の再生検と遺伝子診断が重要であることを示唆している。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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