臨床血液
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症例報告
外科的切除後に自家造血幹細胞移植を施行し寛解を維持しているランゲルハンス細胞肉腫
伏屋 帆悠里中尾 隆文堤 美菜子中舎 洋輔堀内 美令吉田 全宏吉村 卓朗林 良樹福島 裕子井上 健愛場 庸雅山根 孝久
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ジャーナル 認証あり

2019 年 60 巻 4 号 p. 314-318

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抄録

ランゲルハンス細胞肉腫(LCS)はランゲルハンス細胞由来の予後不良な造血器悪性疾患であるが,その希少性により標準治療は確立されていない。我々は右頸部の複数のリンパ節に生じたランゲルハンス細胞肉腫に対し,外科的切除後に自家造血幹細胞移植を行うことで寛解を維持している症例を経験したので報告する。症例は58歳男性。右顎下の腫瘤を主訴に受診。PET-CTで右頸部の複数のリンパ節腫大を指摘され,生検にてLCSと診断された。CHOP療法を行ったが,治療終了後も急速に腫瘤は増大したため,CHOP療法開始16日目に頸部廓清術を施行した。術中所見にて腫瘍の残存が疑われたため,エトポシド,シスプラチン,イホスファミド,ゲムシタビンを用いた化学療法を実施し,PET-CTにて寛解を確認。その後に自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法を実施したが,移植2年を経た現在も寛解を維持している。LCSに対する自家造血血幹細胞移植の報告例はないが,有効な治療手段となる可能性がある。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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