臨床血液
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症例報告
胆嚢がんとの鑑別が困難であった結節性病変を伴う濾胞性リンパ腫
徳永 正浩前田 哲生福地 成晃玉井 皓己美濃地 貴之笹川 廣和近藤 篤史井上 慎也森田 隆子冨永 信彦
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2019 年 60 巻 4 号 p. 319-325

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抄録

症例は68歳女性。左頸部リンパ節腫脹にて受診し,同部の生検で濾胞性リンパ腫grade 2と診断された。PET/CTにて左頸部から鎖骨上部にかけてとS状結腸,胆嚢底部にFDGの異常集積を認めた。S状結腸のIsp型ポリープに対しては内視鏡的粘膜切除術を施行し,粘膜下層への深い浸潤を伴う高~中分化管状腺がんと診断した。胆嚢底部の結節はCT検査では動脈相から平衡相まで造影され胆嚢がんが考えられた。低腫瘍量の濾胞性リンパ腫よりも胆嚢病変およびS状結腸がんに対する外科治療を優先し,腹腔鏡下S状結腸切除術と同時に胆嚢床切除術を施行した。切除した胆嚢病変は術前の予想に反して濾胞性リンパ腫と診断された。濾胞性リンパ腫は節外臓器にしばしば発生するが,胆嚢病変を伴うことは極めて稀である。術前に胆嚢がんと鑑別することは難しく,本例のような重複がん患者においては胆嚢病変の診断結果により治療方針も異なるため,積極的な組織学的検索が重要と考える。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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