臨床血液
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症例報告
馬尾症候群を契機に肺生検で診断できた血管内大細胞型B細胞リンパ腫
井手 史朗大原 慎内田 智之井上 盛浩華 見萩原 政夫
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2019 年 60 巻 4 号 p. 326-330

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抄録

65歳,男性。膀胱直腸障害と両下肢の感覚障害を自覚し入院となった。入院時,画像検査で胸部すりガラス影を認め,さらに抗サイトメロウイルス(CMV)-IgM陽性を有意と捉え,一連の症状をCMV感染によるものと考え,ステロイドパルス療法および抗ウイルス療法を開始するも,改善を認めなかった。その後,肺野病変が悪化したため気管支鏡検査を行い,生検も追加し,血管内大細胞型B細胞性リンパ腫(IVLBCL)の診断を得た。R-CHOP療法が施行され,自覚症状,採血データは速やかに改善傾向を認め,完全寛解に到った。MTXによる髄注療法を追加し,2年間の寛解を維持している。IVLBCLは9.5%に末梢神経障害を合併することが報告されているが,馬尾神経障害を呈する例は末梢神経障害のうちの14.5%とさらに稀であるとされ,ここに報告する。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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