臨床血液
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Symposium 3
免疫性血小板減少症と血栓性血小板減少性紫斑病に対するリツキシマブ
宮川 義隆
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キーワード: ITP, TTP, Rituximab
ジャーナル 認証あり

2019 年 60 巻 5 号 p. 480-487

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抄録

免疫性血小板減少症(ITP)と後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の名称は似ているが,症状は大きく異なる。国内患者数は,ITPが約24,000人,TTPは毎年約400名の発症と推測される。両疾患とも日本,米国,欧州において,発症率,発症年齢,予後に大きな違いはない。ITPと後天性TTPは,ともに自己免疫疾患であり,免疫抑制療法が有効である。致死的な後天性TTPには,血漿交換療法を併用する必要がある。米国と欧州においては,約10年前からITPと後天性TTPに,抗体医薬リツキシマブが広く使われてきた。一方,我が国では永らく保険適用外であった。そこで,我々は医師主導治験を行い,2018年にITPに対する適応拡大に成功した。TTPは2015年に難病に指定され,2017年に国内初となる診療ガイドラインを作成した。難治性TTPを対象に,リツキシマブの医師主導治験を行った。難治例の定義は,5回以上の血漿交換が無効,またはADAMTS13インヒビター>2 BU/ml以上とした。後天性TTPに対するリツキシマブの適応拡大は,2019年の承認が期待される。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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