臨床血液
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Symposium 10
骨髄線維症におけるルキソリチニブによるGvHD治療
森 康雄
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2019 年 60 巻 8 号 p. 953-959

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抄録

移植片対宿主病(GvHD)は同種移植後の非再発死亡の原因としてもっとも頻度が高い。ステロイド不応例の予後は不良であるが,標準的な2次治療は確立していない。GvHDの病態形成に関わるサイトカインを阻害するこれまでの試みは,単一では十分な効果が得られていない。Jak1/2阻害薬であるruxolitinibはIFN-γ,IL-2,IL-6など複数のサイトカインを同時に抑制することが可能であり,近年の後方視的調査研究では,ステロイド抵抗性GvHDに対する高い奏効率および生存率の改善効果が示されている。一方で,ruxolitinib治療に伴う骨髄抑制や免疫抑制の有害事象が問題となる。さらに,治療中断に伴いGvHDの急性増悪をきたす「離脱症候群」の可能性も明らかとなってきた。本稿では骨髄線維症患者におけるruxolitinibによるGvHD治療の功罪について解説する。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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