2020 年 61 巻 1 号 p. 33-38
CD20抗原はB細胞リンパ腫の多くで発現を認め,診断に重要な表面抗原の1つである。関節リウマチ患者では悪性リンパ腫の合併が多く,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は最も頻度が高い病型である。今回,関節リウマチを合併したCD20陰性DLBCLを経験した。症例は81歳女性。左頸部腫瘤,扁桃腫大,多関節痛を認めた。扁桃病変の病理所見では大型異型細胞のびまん性増殖を認め,免疫染色ではCD3, CD20ともに陰性であった。CD79a, BCL2およびMUM1は陽性,CD10, CD138, BCL6, PAX5, EBV-ISH, HHV8およびALKは陰性であり,関節リウマチを合併したCD20陰性DLBCL, not otherwise specifiedと診断した。減量CHOP療法を行い部分寛解となった。CD20陰性DLBCLは稀であり,臨床病理学的な知見の蓄積が望まれる。