臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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61 巻 , 1 号
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Picture in Clinical Hematology
総説
  • —その役割と制御による新規治療へのアプローチ—
    前川 隆彰, 加藤 章一郎, 木村 文彦
    2020 年 61 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    Fibrocyteは単球系細胞から分化するfibroblast様の形態と機能を持つ血球系の細胞である。Fibrocyteは様々な線維化疾患との関連が報告されており,serum amyloid Pによるfibrocyteの分化抑制は線維化を軽減する。原発性骨髄線維症患者の骨髄中でも腫瘍化したfibrocyteの増生が認められており,モデルマウスにおけるfibrocyteの除去が脾腫や骨髄線維化を軽減することから,病態への関与が示唆されている。また,fibrocyteは細胞表面にSLAMF7抗原を高発現しており,線維化を伴うJAK2V617F陽性骨髄増殖性疾患患者では末梢血中のSLAMF7高発現単球が増加している。この分画は高いJAK2V617F allele burdenとfibrocyteへの分化傾向を示すことから,fibrocyteの前駆細胞と考えられる。さらに,抗SLAMF7抗体のelotuzumabはin vitroおよびin vivoでfibrocyteの分化を抑制し,骨髄線維症の症状を軽減することから,抗線維化治療薬としての開発が期待される。

臨床研究
  • 内田 智之, 土岐 典子, 岸田 侑也, 永田 啓人, 山田 裕太, 小西 達矢, 海渡 智史, 黒澤 修兵, 吉藤 康太, 白根 脩一, ...
    2020 年 61 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    Ph陽性急性リンパ性白血病の予後を改善するため,同種造血幹細胞移植後にチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を投与する報告が近年なされているが,投与が望ましい患者や投与方法など一定の見解は得られていない。今回,単一施設での移植後TKI投与について後方視的に解析を行った。予防的投与(pro)は8例,先制的投与(pre)は6例であった。観察期間中央値はpro 1,427(161~2,428)日,pre 773.5(156~2,243)日であった。Proでは非寛解期で移植が行われた1例が再発した。Preの4例はTKI投与のみで微小残存病変(MRD)陰性となった。2年全生存率はpro 85.7%,pre 100%であった。本解析では既報よりも低用量のTKI投与を行ったが,安全で有効である可能性が示唆された。

  • 萩原 政夫, 井手 史朗, 大原 慎, 内田 智之, 井上 盛浩, 華 見
    2020 年 61 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    当院において形質細胞髄外腫瘍(EMD)を伴って再発を認めた7症例におけるポマリドミド/デキサメタゾン(Pd)乃至ポマリドミド/シクロホスファミド/デキサメタゾン(PCd)併用療法の効果に関して後方視的に解析した。PCd療法によって7症例中3例においてVGPRを達成した。内1例においては,2次性形質細胞性白血病も含めて奏効し,その後自家末梢血幹細胞移植を経て比較的長期の寛解を維持している。また重篤な感染症の発症もなく忍容性においても優れていた。本論文は複数のEMD合併多発性骨髄腫症例におけるPCd療法の有効性を示した初めての報告である。

症例報告
  • 原田 尚憲, 中根 孝彦, 岡村 浩史, 南野 智, 中嶋 康博, 康 秀男, 田中 さやか, 大澤 政彦, 日野 雅之, 中前 博久
    2020 年 61 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    65歳女性。2017年10月より抗菌薬不応性の発熱を認め,当院緊急入院となった。入院時白血球54,400/µl(芽球様細胞90%),経皮的動脈血酸素飽和度は97%(酸素3 l/分鼻カニューレ)であった。骨髄検査にて急性単球性白血病と診断,胸部CTで小葉間隔壁肥厚,中枢側優位のスリガラス陰影,左下葉結節影を認め,感染症や心不全合併を考慮し各治療を行うも有効性に乏しく入院後第7病日にTBLBを施行し,白血病肺浸潤と診断,最終的に強化化学療法を行う方針を選択し寛解を得た。急性骨髄性白血病は初発時肺浸潤合併が多い一方でほかの肺合併症との鑑別に苦慮することも少なくないが,実地診療では臨床診断に基づき化学療法の開始が決定されることが多い。今回,生前に病理学的に病態を確認し,良好な経過を得られた貴重な症例と考えられることから,文献的考察を加え報告する。

  • 吉野 明久, 牧山 純也, 今泉 芳孝, 松尾 江美, 北之園 英明, 中島 潤, 加藤 丈晴, 三好 寛明, 大島 孝一, 吉田 真一郎, ...
    2020 年 61 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    CD20抗原はB細胞リンパ腫の多くで発現を認め,診断に重要な表面抗原の1つである。関節リウマチ患者では悪性リンパ腫の合併が多く,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は最も頻度が高い病型である。今回,関節リウマチを合併したCD20陰性DLBCLを経験した。症例は81歳女性。左頸部腫瘤,扁桃腫大,多関節痛を認めた。扁桃病変の病理所見では大型異型細胞のびまん性増殖を認め,免疫染色ではCD3, CD20ともに陰性であった。CD79a, BCL2およびMUM1は陽性,CD10, CD138, BCL6, PAX5, EBV-ISH, HHV8およびALKは陰性であり,関節リウマチを合併したCD20陰性DLBCL, not otherwise specifiedと診断した。減量CHOP療法を行い部分寛解となった。CD20陰性DLBCLは稀であり,臨床病理学的な知見の蓄積が望まれる。

  • 上田 格弘, 橋本 健, 山添 有美, 足立 佳也, 木原 里香, 桑原 恭子, 藤野 雅彦, 綿本 浩一
    2020 年 61 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    濾胞性リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫を合併する症例の報告は少ない。症例は,37歳男性,全身性リンパ節腫大にて発症した濾胞性リンパ腫に対してR-CHOP療法を施行し寛解に至った。約4ヶ月後に熱発・汎血球減少・LDH上昇が出現,骨髄に限局した古典的ホジキンリンパ腫と診断された。免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成が初診時の濾胞性リンパ腫のサンプルと同様であったことから,濾胞性リンパ腫と同一細胞起源と考えられた。救援化学療法にて寛解に至り,自家移植併用大量化学療法にて地固め療法を行った。現在,自家移植後2年以上経過しているが,再発することなく経過している。濾胞性リンパ腫と合併した古典的ホジキンリンパ腫は,稀な病態であるために適切な治療法は確立していない。本例の経過より自家移植による地固め療法が有効な可能性が示唆された。

短報
第79回日本血液学会学術集会
学会奨励賞受賞論文
  • 久保田 翔
    2020 年 61 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/04
    ジャーナル 認証あり

    芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は急性骨髄性白血病の一種であり,形質細胞様樹状細胞の前駆細胞に由来していると考えられている。BPDCNは悪性度が高く予後の悪い疾患であるため,新たな治療法の開発が必要とされている。近年では次世代シークエンサーを用いたジェネティック,エピジェネティックな解析が発展したことで,BPDCN患者における原因遺伝子の変異や,がん遺伝子発現を誘導するエンハンサーの状態が解析可能となり,新たな治療標的開発のための分子基盤が明らかとなった。本稿では染色体転座とエンハンサーハイジャックによるBPDCNの増殖機構をはじめとした,近年のBPDCN治療のための研究について解説する。

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