臨床血液
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Symposium 4
自己免疫性後天性凝固第XIII/13因子欠乏症
小川 孔幸
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2020 年 61 巻 7 号 p. 799-808

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抄録

凝固第XIII/13因子(FXIII)は,タンパク質を架橋結合させる酵素であるトランスグルタミナーゼの一種で,止血と創傷治癒に寄与する。FXIIIは,酵素活性を有するAサブユニット(FXIII-A)とそれを安定化するBサブユニット(FXIII-B)からなる異種四量体を形成する。自己免疫性後天性凝固第XIII/13因子欠乏症(AiF13D)は,抗FXIII自己抗体によりFXIII活性が著減し,主に高齢者に突発的で重篤な出血症状を呈する難治性出血性疾患である。AiF13Dは超希少疾病で,世界中で約100例(うち60例以上を日本から)が報告されているのみである。本症は日常臨床検査で異常が検出されないため,多くの症例が見逃されている可能性がある。AiF13Dの自己抗体は,Aa型,Ab型とB型の3様式が存在する。当院ではこれまでに4例(Aa型:3例,B型:1例)の診療経験がある。本総説では当院の診療経験を交えてAiF13Dの診断と治療の要点について概説する。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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