臨床血液
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Symposium 4
後天性フォンヴィレブランド症候群
早川 正樹松本 雅則
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2020 年 61 巻 7 号 p. 809-817

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抄録

後天性フォンヴィレブランド症候群(AVWS)は,様々な疾患に合併するため見過ごされることが多い出血性疾患である。20年前にはリンパ増殖性疾患(48%),循環器疾患(21%),骨髄増殖性疾患(15%),その他の悪性疾患(5%),自己免疫疾患(2%)に合併するといわれていた。しかし,近年大動脈弁狭窄症の患者の79%,左室補助循環装置(人工補助心臓の一種:LVAD)装着者の最大100%にも認められるとの報告がある。従来では,VWFへの自己抗体産生,悪性腫瘍などの細胞へのVWF吸着によって出現すると思われてきた。しかし高齢化社会とともに増加する大動脈弁狭窄症などの循環器疾患や,心臓移植希望者に対する代為治療として年間1,000例のペースで用いられるLVAD,重症循環・呼吸不全に対して頻用される人工心肺(PCPS,ECMO)によって,我々は気づかないところでAVWSに直面していると思われる。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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