臨床血液
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Symposium 10
多発性骨髄腫におけるSLAMファミリー分子を標的とした治療
田村 秀人石橋 真理子高橋 秀実猪口 孝一
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2020 年 61 巻 7 号 p. 818-826

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抄録

SLAMFは正常リンパ球や多発性骨髄腫(MM)細胞に高発現する分子群であり,SLAMF7の抗体治療薬elotuzumabはすでに実臨床で使用されている。可溶型(s)SLAMF7はMM細胞のSLAMF7に結合し腫瘍増殖を増強する。実際,血清sSLAMF7高値例は進行病期やアグレッシブな臨床特徴と関連する。SLAMF3もMM細胞に高発現し,アグレッシブな特徴と関連する分子で,アダプター蛋白SHP2とGRB2と相互作用し,MAPK/ERK経路を介して正のシグナルを伝達する。血清sSLAMF3は進行期で増加し病勢と関与するため,SLAMF3はMMの理想的標的といえる。SLAMF2, 6もMM細胞に高発現しており,これらを標的としたantibody-drug conjugateの臨床試験も進行中である。今後,MM関連SLAMF分子を標的とする治療薬の効果が大いに期待される。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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