2020 年 61 巻 8 号 p. 971-978
現在,小児急性骨髄性白血病(AML)の無イベント生存率は強力な化学療法,適切な造血幹細胞移植の適用と支持療法の進歩により60%に到達している。さらなる予後の改善には,よりよいリスク層別化方法と効果的な治療の開発が必要である。近年,小児AMLにおいて微小残存病変(MRD)が強い予後因子として注目され,すでに欧米の臨床試験ではフローサイトメトリー(FCM)によるMRDがリスク層別化に用いられている。ダウン症合併の骨髄性白血病(ML-DS)は,その特異性から非ダウン症AMLとは別に強度の弱い治療が行われている。ML-DSの再発難治例は極めて予後不良であるが,これらを見いだす普遍的な予後因子は見つかっていない。予後不良群抽出の可能性を探索する目的で,JPLSG AML-D11試験でMRDを測定した。その結果,寛解導入療法後のFCMならびにGATA1変異によるMRDの有無が有意な予後因子であることが示された。