臨床血液
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総説
小児骨髄異形成症候群の診断と治療
長谷川 大輔
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2021 年 62 巻 4 号 p. 229-238

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抄録

骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞の異常によって血液細胞の分化が障害され,血球減少と細胞の形態学的異常(異形成)を呈する疾患群の総称である。成人では加齢に伴って造血細胞内に生じる遺伝子異常が発症に関わるとされるが,小児では先天性素因の関与について注目が集まっている。異形成はMDSを特徴づける所見であるが,MDS以外の造血器疾患のみならず感染症や先天性免疫不全などでも認められるため,「異形成=MDS」と短絡的に考えずに鑑別診断を行うことが重要である。骨髄生検は必須で,芽球増加を伴わないMDSは再生不良性貧血との鑑別が,芽球増加を伴うMDSは急性骨髄性白血病との鑑別がそれぞれ重要である。小児MDSの治療方針は芽球の多寡によって異なる。芽球増加を伴わないMDSは血球減少の程度,染色体異常の種類などを勘案して方針を決定し,芽球増加を伴うMDSは造血細胞移植の適応となる。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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