2021 年 62 巻 7 号 p. 717-720
49歳女性。44歳時に右乳がんに対し放射線治療,化学療法の施行歴がある。今回,健康診断で汎血球減少を指摘され当院受診となった。骨髄穿刺でMPO染色陰性の芽球を78.2%に認めた。フローサイトメトリーではCD10,CD19,CD22,CD34,CD38,HLA-DR,TdTが陽性であり,CD19,glycophorin A(GPA)を共発現している分画が認められた。染色体分析ではhyperdiploid(染色体数55本)であった。以上からB-lymphoblastic lymphoma/leukemia with hyperdiploidyと診断した。GPAは赤芽球系のマーカーであるが,WHO分類によるmixed phenotype acute leukemiaの診断基準には赤芽球系は含まれていない。赤芽球系とリンパ系のbiphenotypeの白血病が新たな疾患単位を形成するか,症例の蓄積が待たれる。